ギターを弾き始めて1年、2年。ギターってみんな同じよね?って思ってたのに、そのうち、あ、カワイイ!とか、わー、カッコいい!とか思うギターにも出逢い…。そしてカッコいいギターが必ずしもいい音ではない現実にも気付く…(泣) いつしか見た目も音も自分好みのギターってないものなのかしら…と、ギター探しの旅へ。そして分かった!そうだ、オーダーメイドだ!アコギのオーダーメイド!!
そんなオーダーメイドのアコギに関して注意点やおすすめをご紹介していこうかと思います。
アコギをオーダーメイドするときの5つの注意点
アコギのオーダーメイドを調べていくうちに、問題にぶち当たる。うーん、どうしたらいいのだろう。
1.値段が高い
一番気になるのがお値段。だってオーダーメイドですもん。職人さんがコツコツ作るわけで、製作だけでも完成まで30日以上かかるのです!職人さんの日当だけでも1日1万円として30万円!プラス材料費プラスケース代……(汗)規制品ギターよりもお値段高めになるのも納得できます。
それでも、世界で一本だけの自分オリジナルギターを手に入れる。お金には変えられない魅力が満載なのでしょうね。
2.製作に時間がかかる
その前にギターの材料になる木ですが、切り出されてから何十年も(長ければ40年とか)乾燥させるそうで!!その長い長い乾燥期間を終えて、木はやっとギター製作に選ばれるわけです。
さて、注文を受けてから、どんな過程でギターは製作されるのでしょう?
1、木取り….だいたいのパーツを寸法に合わせて切る
2、表板(トップ)を作る….表板の木を削って厚みを決める
3、表板のサウンドホールの周りの装飾を付ける
4、表板の裏に力木を付ける
5、裏板(バック)を作る
6、側面板(サイド)を作る…..厚みを決めてから熱を加え型に合わせて成形する
7、ボディを組み立てる….型に入った側面板に裏板と表板を取り付ける
8、バインティング….縁取りでボディの周りを補強する
9、ネックを作る
10、ネックをボディに取り付ける
11、指板を付ける
12、フレッドの打ち込み
13、ブリッジを付ける
14、塗装
15、弦を張る
16、最終セットアップして完成
(*各部の名称は下で確認できます)
ざっと書いてみましたが…ひとつひとつの工程も、気の遠くなるような複雑なもので、なるほど、オーダーメイドに時間かかかるっていうのは、こういうことだったのね。納得。
うーん、ギター完成まで数ヶ月かぁ…。でも、本当に自分だけのギターを手に入れたいなら、焦らずに、とにかく職人さんを信じて待つしかないということですね。
3.完成後の音を製作前に確認できない
もちろんオーダーする時 ある程度の予想は出来ます…が、あら、思った音とちょっと違う、という事もあるようです。チョイスした材質や形で微妙な音の変化がありますので、どんな音に仕上がるかというのは、完成後のお楽しみということです。
製作前に音を確認したくても完全には無理というのは、仕方のない事かもしれませんが、フルオーダー(全てのパーツをゼロから自分でチョイスする)ではなく、セミオーダー(ある程度決められた枠内で材料を好みの音に合わせてチョイスする)なら、心配はそれほどないそうです。
それでもやはりオーダーメイドギター、ロボットでは作り出せない立体的なハーモニーとメロディを期待しましょう!
4.個人工房のサービスには限界がある
もちろん世の中には、誠実な長年良いギターを作っておられる個人工房もあります。なんとなく個人工房の方が丁寧な仕事をしてくれるんじゃないか、と。こんな私でも手の届く個人工房はないものか、と調べていくうちに….ひぃー!こんな恐ろしい例がっ!
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やっと出会えた個人工房。発注前の対応はまめだったのに、発注後全額前金を払ってからの連絡は非常に雑。約束の納期を超えても連絡がないので尋ねてみると…..製作家の体調不良その他の理由で……待てど暮らせど完成しない。そのうち電話しても繋がらない。メールのソフトが壊れたとか、なんとかでメールの返事も来ない。途中詐欺も疑い、途方に暮れどこに相談に行こうかと悩んだ。最終的に納品されたものの、仕上がりは悪くないものの、気分が収まるまでにかなりの時間がかかり、ギターを見るたび嫌な記憶が脳裏に浮かぶ。
…こ、恐すぎる。確かに個人工房…例えばご家族が病気になったり、その他、個人的な事情で製作が進まない、工房のPCが壊れて連絡が取れない…ということは起こり得ること。オーダーメイドは欲しい、でも個人工房でこんな思いはしたくない…え?じゃあどうすればいいの?
なんとなんと、個人工房じゃなく、ちゃんとしたギターメーカーのオーダーメイドって言うのもあるらしいのです!メーカーならこの辺の対応はちゃんとしてくれるから安心出来そうです!
5.木材を自分で調達したものを使用したい
中にはネットで木材を買ってオーダーするのはどうか?と考える人もいるようですが…例えば、魚市場で魚を見て、新鮮かどうか、これをどう調理したら美味しくなるか、パッと判断するのにはそれなりの経験が必要。木を判断するにはもっといろんな知識が必要なわけで、そうすると自分で木材を調達する、というのは良い方法とは言えないようです。
例えば、「ハカランダ」(ワシントン条約の絶滅危惧種に指定されて以来手に入りにくくなった)という木の音にとてもよく似た「ココボロ」という木でカッタウェイ(ボディのネックの付け根部分から肩にあたる部分をえぐった形)のギターを作ると、10回に1回くらい板が割れる可能性がある、と言われていて、これがもし自分で調達したものとなると、なんの保証も受けられないのです。
やはり材料(木)選びはプロにお任せするのが良さそうです。
アコギのオーダーメイドをおすすめする理由
それにしても、なぜそんなにオーダーメイドが人気なの?オーダーメイドの魅力は?
某ギター工房に尋ねてみる。『自分の手の大きさにぴったり合う、弾きやすいギターが手に入れられる』という返答が。『人により手の大きさ、指の長さは微妙に違うわけで、カッコイイと飛びついたギターでも、もし弾きにくかったら本当に残念だよね。逆に本当にしっくりくる、お気に入りギターに出会えたらギターを弾くことが何倍も楽しくなるよ。いい音色は人を幸せにする、幸せな気持ちは生活を豊かにする』
な、なるほど!世界に一本だけのオーダーメイド、これで幸せが手に入れられる?
アコギのオーダーメイドでチョイスできる部分
オーダーメイドと言っても、どの部分をどんな風にチョイスできるの?
好きなミュージシャンが持ってるのと似たモデルが欲しい、とか。とにかく直感で好き!って思えるデザインがあるとか、もう外見なんてどうでもいい、音のみ追求したいとか…人の好みは十人十色。
さて、実際どんなチョイスがあるのでしょう。
工房によって違いはあるようですが、大まかに以下のパーツをカスタムできるようです。
ボディシェイプ
簡単に言うとボディの形のこと。ギターの形状や大きさで、音色や音量がかなり変わるので、コレをまずじっくり考えて選びましょう。
スモールジャンボ(SJ)
典型的なアコギのかたち。くびれがあり外見のバランスが見て美しく、多くのギタリストにも好まれている。スモールと言っても、ちょうど良い中間的な大きさで日本人の体型にもぴったり。
高音の切れ味と音量の豊かさが特徴。ソロギター、引き語りどちらもOK。
オーディトリアム(A)
ちょっと小ぶり。女性にも弾きやすいサイズ。低音から高音までバランスが良く、引き語りやフィンガーピッキングの人から好まれている。
ドレッドノート(D)
くびれが少なく、比較的大きなボディでギターの定番と言える形。パワフルな音量と低音が出るのに、それでいて独特の繊細さもあり、ストロークはもちろん引き語りにも適していてオールマイティーな魅力がある。
オーケストラ・モデル(OM)
比較的小型のボディで、レスポンスが速く、美しい高音で、リードプレイやフィンガーピッキングの演奏におすすめ。
トップ板(材)
さぁ、ボディの形を決めたら次に選ぶのはトップ材。アコギの音のほとんどは、トップ材が弦によって振動することで作られているのだそうです。
ということはこのトップ材、どれを選ぶかによって、ギターの音とパッと見のビジュアルにかなり影響がある…というわけで。さて、ここは慎重に選びましょう。
シトカ・スプルース
アコギギターの代表的なトップ材。高音が明るく輝き、低音も豊かに響く。比較的リーズナブルでバランスの良い音が出るので沢山のギターに使用されている。
インゲルマン・スプルース
まず見た目が色白。他のスプルースに比べると柔らかさがあり、温かみのある音色でハーモニクスがきれいに響く。
アディロンダック・スプルース
高級ギターに使用されることが多い。音量が大きくシトカよりもパンチのある音が出て、反応が早くダイナミックな感じ。パワフルでクリアな音に人気がある。高級なマーティンは全部この木だとか。
シダー
赤みがかった茶色。音色が柔らかく温かみがあり、主にクラッシックギターのトップ材として使用されている。もちろんアコギにも使われ、フィンガーピッキングに適している。
ハワイアンコア
とにかく杢目が美しい!音色はとても明るく高音がクリアで多くのギタリストに愛されている。存在感がハンパない。
メイプル
音の輪郭がはっきりしていて、ストロークに適している。
サイド・バック材
音とビジュアルにいちばん影響するのはトップ材であるものの、それをサポートするサイド材・バック材もやはり大事。しっかり選んでいきましょう。
アフリカン・マホガニー
暖かくて明るい音色で多くのギターに使用されている定番ギター材。音の反応が速い。
インディアン・ローズウッド
重厚な低音と長いサスティーンが特徴で音が深い。
ココボロ
杢目と音質がきわめてブラジリアン・ローズウッドに近い。音色は力強くサスティーンが長く、しかも美しい杢目。
ハワイアンコア
音色が非常に明るく、高音がクリアで、杢目がとても美しい。
ジャーマン・メイプル
真っ白なビジュアルときれいな杢目。堅めの材質で音が明るく音の輪郭がはっきりしている。
アフリカン・オバンコール
ローズウッドのような音の深みと、マホガニーのような反応の速さの両面を合わせ持つ。音はクリアでバランスもよく低音も豊か。
ヘッド
形状の違いでずいぶん印象が変わるので、組み合わせで一番似合うものをチョイス。
ヘッドの形状
ヘッドトップが曲線と直線になってるもの、小山のような曲線になってるもの…..といろいろあります。
ヘッドに使用する木材
エボニー
指板によく使用される高級材のことで、特徴は木材の密度が高く黒色。
インディアン・ローズウッド
ローズウッドの杢目が美しく高級感が出る。
ハワイアン・コア
コア独特の縞目模様。トップ材にコアをチョイスした場合、ヘッドも合わせると素晴らしい一体感になること間違いなし。
ヘッドのインレイ
ブランドロゴやお気に入りの装飾をアバロン(アワビ貝)や木で入れられます。
ヘッドのバインディング
角に沿って付けた縁飾り。ヘッドに入れるかどうかはお好み次第。
指板
ポジションマーク
フレット数を確認しやすいように付けられたマークのこと。
マークの形は一般的なドットの他にも、ブロック(長方形)、ヘキサゴン(六角形)、ダブルパラレログラム(2つの平行四辺形)、クラウン(王冠)、スロッテッド(切り込みが入った菱形)、スノーフレイクス(雪の結晶)、キャッツアイ(猫の目)などがあります。
指板のエンドデザイン
指板がサウンドホールに接している部分。直線、アーチ型などがあります。
指板のインレイ
もちろんインレイなしのシンプルもOKですが、ワンポイントで入れるのも良し、ギラギラと入れるのも良し。ツタ模様、メイプルリーフ、桜の花びら、鷹(イーグル)、鯉などのデザインがあります。素材にはアバロン(アワビ貝)や木などが使われます。
ブリッジ
弦の一部をボディに固定している部分で、弦の振動をボディに伝える大切な役割をします。 素材は主にローズウッドやエボニーが使われています。
デザインも、直線的なもの、直線と曲線が組み合わされたものなど、いろいろあります。指板のインレイをブリッジにワンポイントで入れたりもできます。例えば指板に桜のインレイを入れて、ブリッジに花びら1枚さりげなく入れてみる….とか。デザインはお好み次第。
ロゼッタ
サウンドホール(ギター中央の穴)の周りの装飾のこと。アバロン(貝)や木で埋め込んであります。線の太さやデザイン、使う材質で全然違う印象になります。サウンドホールの雰囲気でギター全体の印象も変わります。いろんなデザインを参考にして、それぞれお好みのデザインに!
塗装
1番の目的は、木材を湿気や衝撃から守るためですが、この塗装によって杢目の美しさがより際立ちます。そして塗装は音色の変化にも影響します。塗装すると中音域に力のある太い音になります。ギター塗装にはいくつか種類があり、それぞれの特徴があります。
ラッカー塗装
塗膜が薄く、鳴りがよいとも言われている。温度や湿度の変化に弱い。完全乾燥まで数週間かかる。
オイルフィニッシュ
ボディに直接オイルを塗り込む。最も薄く、本来の音を再現できるが、温度、湿度、耐水への耐性に弱い。
ポリウレタン塗装
合成樹皮による塗装で最もポピュラー。湿度、温度による木の反りや割れを防ぎ、乾燥も早い。
*一般的なポリウレタン塗装にも仕上げ(フィニッシュ)の方法がいくつかあります。
ハイグロスフィニッシュ(艶出し)
ポリウレタンを非常に薄く塗り、自然乾燥、耐水ペーパーでの磨きを繰り返し、薄くてしかも光沢が美しくなるように仕上げる。
サテンフィニッシュ(艶消し)
表面がサラッとしている。指紋が付きにくいので、主にネック部分に採用されている。艶出しのキラキラ感に対して艶消しは、渋い感じのギターに。
オープンポアフィニッシュ
ボアとは木の導管のことで、それを埋めない塗装なので、表面がザラザラしている。最も塗装が薄いので、木材本来の音に近い音色になる。
….と、ここまで、オーダーメイドのアコギ、どこをどんな風にカスタムできるのか、まとめてみましたが…奥が深すぎるっ!ポイントが多過ぎて、うーん、一体何をチョイスしたらいいの?あぁいうのもいいな、でもこのポイントは外せない……悩む、悩む、悩む。でも理想の一本に出会うためには、やっぱり必要な時間、なのかな。大体の理想がまとまったら、工房に相談してみるのもよい方法だと思います。
…と同時に、オーダーする前にチェックしておきたい事があります。
オーダメイドする前に必ず確認すべき点
製作時間と納期
各工房で納期が違ってきます。1本のギター製作に数ヶ月かかりますので、気を長く待つ必要がありそうです。
支払いの方法
注文した時、頭金をどれくらい払うのか、一括払いのみなのか、または分割払いもできるのか確認が必要です。
大抵は銀行振込ですが、工房によってはクレジットカードOKというところもあります。
送料
送料は誰が負担するのか、どんな配送業者を使うのか、など。
返品・キャンセルについて
大抵の場合、明らかな仕様違い、製作上のミスなどを除き返品はできません。ただし各工房によって返品やキャンセルの条件が細かく設定されている場合もありますので、ホームページなどで確認しておくといいと思います。
連絡方法
各工房のホームページにある、お問い合わせフォームから。またはメールにて不明な点は確認してみましょう。
オーダーメイドアコギのおすすめ3選
Ayers(エアーズ)
エアーズギターのオーダーはセミオーダーを超えてフルオーダーに近い細かな部分まで指定可能なようです。そして他のショップに比べるとコストパフォーマンスがかなり良い!例えば、一般にトップ材をアディロンダック、バック材をココボロで製作した場合、 価格は普通よりずっと高価なものになり、マーチンに至っては100万円ほどに!個人工房でも80万円〜60万円、という中、エアーズギターでは40万前後の超リーズナブルプライスで手に入れられます。
K.Yairi(ヤイリ)
ヤイリギターを知らない人はいない、というブランド力は素晴らしいです。テレビなどでも取り上げられ、近年の人気はすごい。納期は半年から1年。「メイドインジャパン」のこだわりギター。
Leaf lnstruments
こだわりの製作家である店主が、国内で一番の老舗鈴木バイオリンで学んだ技術を、2010年より独自にこのブランドを立ち上げ、こだわりのギターを製作しているようです。一般にはギターの装飾を貝で施すのに対して、あくまで木で装飾する、というこだわりがあります。
まとめ
いい音は人を幸せにする。しっくりするお気に入りのギターがあったら、こんな素晴らしい夢が叶うなんて。オーダーメイドのギターって、こんなに人を魅了するなんて思わなかった!何から何まで自分で調べてオーダーするにはちょっと深そうだし、まずは気になった工房にメールして、ちょちょっと相談してみよう。さぁ、ワクワクの世界へー。
大切なギターの保管方法
せっかくオーダーメイドでギターを購入するのでしたら
ギターの正しい保管方法を知っておくことをお勧めします。
保管方法が悪いと、ギターにゆがみやひび割れが生じたり、
音質の劣化を招きます。
正しいギターの保管方法に関しては以下のページをご参照ください。